1994 年 36 巻 1 号 p. 23-30_1
当院開院以来28年間に得られた上部消化管カルチノイド27例の内視鏡像,診断経過,病理学的諸性状を検討した.1)対象27例中22例が胃に5例が十二指腸に発生したものであった.転移は5例に認められ,いずれも胃病変であった.これらのうち1例は完全治癒切除後8年の肝転移例であった.2)内視鏡像は表層型,隆起型,腫瘤形成型の3型に分類可能であったが,いずれにも転移例を認めた.これらのうち表層型は予想外に広汎な浸潤を示し,また小病変では消失例も経験する.しかし術前診断はきわめて不十分であり,その臨床的取り扱いには十分な配慮が必要と思われた.