日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的乳頭括約筋切開術の結石再発症例の検討
鈴木 雅貴松田 徹外田 博貴奥山 芳見堺 順一山科 明夫斉藤 博佐藤 信一郎水戸 省吾大泉 晴史
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1994 年 36 巻 1 号 p. 31-36_1

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抄録

1980年5月から1989年5月までに乳頭括約筋切開術(EST)を施行した総胆管結石症例で長期予後を観察し得た112例について検討を行った.結石再発を8例(7.1%)に認め,切開法は1例のみ中切開であったが,他の7例はすべて大切開を施行した症例であった.再発時の乳頭部は土管状に開口しており再狭窄を認めた例はなかった.7例中3例の再発結石の中心部に食物残査を認め,再発結石の原因として乳頭部が土管状に大きく開口しているため容易に十二指腸内容物が胆管内に入り込み感染が加わって結石が形成されたことが推測された.また結石再発8例中5例に傍乳頭憩室が認められたことから同病変が食残の胆管内への迷入を補助している可能性が示唆された.以上の所見からESTにおける切開は大切開を原則とはせず,中切開までにとどめることが重要であると考えられた.

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