日本消化器内視鏡学会雑誌
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切除不能進行胃癌に対する化学療法有効例の治癒形態の検討
小栗 光卜部 健太田 肇荻野 英朗柳 昌幸松下 栄紀稲垣 豊金子 周一鵜浦 雅志小林 健一
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1994 年 36 巻 10 号 p. 1935-1942_1

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抄録

 全身化学療法が奏効した切除不能進行胃癌10症例において化学療法に伴う治癒形態について検討した.化学療法前(前期),50%以上の縮小に到達したと認めた時期(前PR期),PRおよびCRと判定された時期(PR期,CR期)の各時期における内視鏡所見により,潰瘍底や辺縁隆起の性状,粘膜ひだの集中像や再生上皮の有無などの腫瘍の縮小以外の形態的因子について比較検討した.化学療法に伴う進行胃癌の肉眼的形態は多様で,良性潰瘍に見られるような一定の形態的変化は見られなかったが,PR期の治癒形態は「形態無変化型」「悪性ひだ型」「粘膜変化型」「辺縁隆起残存型」の4群に分類可能であった.これら4群の奏効期間および生存期間は「辺縁隆起残存型」「粘膜変化型」「悪性ひだ型」「形態無変化型」の順に良好である傾向を認め,化学療法に伴う肉眼的形態変化により化学療法の質的効果を推測できる可能性が示唆された.

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