日本消化器内視鏡学会雑誌
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原発性胆汁性肝硬変早期例の腹腔鏡的検討
定本 貴明柴田 実
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1994 年 36 巻 10 号 p. 1945-1953_1

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抄録

無症候性PBCのうち血清ALPが正常上限の2倍未満の症例をPBC早期例とし,これら17例の腹腔鏡肝表面像を,ALPが正常の2倍以上のPBC典型例17例および症候性PBC20例と比較検討した.組織所見のScheuer分類は,PBC早期例はI期14例,II期3例,PBC典型例はI期10例,II期6例,III期1例,症候性PBCはI期5例,II期6例,III期3例,IV期6例であった.全例の腹腔鏡所見の検討では,赤色パッチが48%,淡い輪郭の白色紋理が55%,なだらかな起伏性変化が59%にみられた.PBC早期例では赤色パッチと白色紋理の出現率はPBC典型例に比べ有意に低かった.何ら特徴的な所見を認めない例が17例中6例(35%)あったが,9例(53%)ではこれら3所見のうち1~2所見が認められた.腹腔鏡にて経過観察し得た10例のうち6例に肝表面の進展がみられ,このうち4例は無症候性のままだったことから,PBCにおいては臨床所見に先行して肝表面に変化が認められることが示唆された.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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