日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道胃静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)の検討
―硬化療法併用の必要性―
片岸 達夫小島 孝雄清水 省吾杉本 尚仁藤井 貴章香田 弘司金武 康文加藤 隆弘奥田 順一井田 和徳
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1994 年 36 巻 10 号 p. 1964-1968

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抄録

1992年9月より1993年10月の間に当院では食道静脈瘤35例と胃静脈瘤2例に対し内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を施行した.適応はRC(+)の食道静脈瘤及び食道胃静脈瘤出血例とし,治療目標をF1,RC(-)とした.食道静脈瘤に対するEVL単独での有効率は77.1%で緊急例の止血率100%と内視鏡的硬化療法(EIS)に匹敵する成績であった.さらに無効例に対しEISを追加することにより,有効率は88.6%に向上した.また,結節型の静脈瘤や硬化療法後の症例でも有効であった.合併症には重篤なものはなかった.食道静脈瘤に対しEVLは十分な治療効果を有し,第一選択となりうると考えられた.しかし再発例も経験しており,効率よく静脈瘤の消失を目指すためにはEISの追加が必要である.胃静脈瘤に関しては現在のデバイスでは安全性に不安が残り,今後の検討を要する.

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