日本消化器内視鏡学会雑誌
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C領域の早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術の工夫と成績
赤松 泰次宮田 和信中村 直藤森 芳史清水 俊樹原 悦雄長谷部 修武川 建二前島 信也清沢 研道古田 精市勝山 努
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1994 年 36 巻 10 号 p. 1954-1963

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抄録

C領域における内視鏡的粘膜切除術(EMR)の成績を,斜視型2チャンネルスコープを使用するようになった最近3年間(後期)とそれ以前(前期)に分けて比較検討した.初回治療においてI群(complete resection)と判定された症例は,前期は21例中5例(23.8%)であったのに対して,後期は19例中13例(68.4%)と増加した(P<0.01).EMR後に遺残や再発を認めた症例は,前期ではsm浸潤のために直ちに追加手術した1例を除くと20例中8例(40.0%)であったのに対して,後期では19例中4例(21.1%)と減少傾向がみられた.偶発症は前期と後期で発生率に差はなく,ほとんどが切除直後の少量出血で,重篤なものは穿孔した1例のみであった.技術的に難しいと考えられているC領域においても(1)機器の改良,(2)技術的な工夫,(3)偶発症に対する配慮により,A・M領域と同様にEMRが可能であり,斜視型2チャンネルスコープは切除困難部位の克服に役立っと思われた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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