日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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電子拡大内視鏡による逆流性食道炎の検討
―色調変化型食道炎の微細構造を中心に―
瓜田 純久西野 執北条 裕米谷 隆有木 寿史三浦 富宏近藤 栄作山田 秀一武藤 ます江松崎 浩司蜂矢 朗彦石原 学尾崎 元信成木 行彦大塚 幸雄
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1994 年 36 巻 10 号 p. 1976-1982_1

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抄録

電子拡大内視鏡オリンパスGIF-200Zで観察した170例中,「下部食道の柵状血管が粘膜移行部にいたる前に消失する」色調変化型食道炎60例,活動期治癒期(AH期)の逆流性食道炎13例について検討した.逆流性食道炎は42.9%と高率に発見され,色調変化型はヨード染色像から,粘膜のひきつれがなく狭義の色調変化型に相当するD型,ひきつれが食道側のE型,噴門側のC型,両方のEC型の4型に分類された.各型で年齢,性および血清PGIに差はなかった.AH期の食道炎では十二指腸潰瘍,食道裂孔ヘルニアの合併が有意に高率であった.噴門側の胃粘膜微細模様は,色調変化型では正常patternを示したが,AH期ではD patternを示した.この粘膜はZ-1ineを越えて食道側へ出現することはなく,瘢痕期には消失した.色調変化型食道炎は高率に存在したが,胸やけなどの臨床症状は少なく,その存在意義については,さらに病理組織学的および生理学的検討が必要と思われた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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