抄録
Treitz靱帯から約220cm肛側にあった小腸悪性リンパ腫を,内視鏡観察及び直視下生検によって術前に診断しえた1症例を報告した.患者は69歳女性で,腹部膨満感を主訴に当科を受診した.消化管X線造影検査にて中部小腸に狭窄を認め,腹部超音波検査およびX線CT検査にて腫瘤像を描出し,小腸の腫瘍を疑った.ひきつづき施行した小腸内視鏡検査および直視下生検にて,中部小腸悪性リンパ腫と確定診断し得た.腫瘍に対しては外科的切除術を施行するとともに,全身化学療法を施行した結果,術後3年の現在も再発を認めていない. 文献的には,本例は内視鏡にて術前診断した小腸悪性腫瘍としてはTreitz靱帯より最も遠位のものであった.