日本消化器内視鏡学会雑誌
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Strip biopsyにおける4点固定法の開発と胃病変に対する臨床的評価
稲土 修嗣田中 三千雄
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1994 年 36 巻 5 号 p. 939-948_1

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抄録

 Strip biopsyによる胃病変の治療法においては,病変の完全切除率が必ずしも高くないことと,切除標本の口側・肛門側の決定が困難なことが今日も未解決の問題としてある. これらの問題解決を目的にstrip biopsyの方法を改良し,その有用性について検討した.改良点は胃病変周囲の粘膜4カ所に,新たに作製した巨大把持鉗子の2個の爪と色の異なる短いクリップ2個を固定することによって,スネア鉗子による病変の切除をそれら4カ所の外周から確実に出来るようにすることと,切除した病変組織をこの2個のクリップをつけたまま胃から回収することである.胃のm癌あるいは腺腫を有した臨床例(計101例)を対象に本改良法の有用性を検討したところ,従来のstrip biopsyの方法に比べて完全切除率は有意に高く,かつ切除標本の口側・肛門側のより正確な判定ができることが明らかになった.われわれはこの方法を"4点固定法:Four-point fixation method"と命名した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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