日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的食道粘膜切除術の切除深度について
犬を用いた実験的検討を中心に
永井 鑑河野 辰幸井上 晴洋三宅 智出江 洋介遠藤 光夫
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1994 年 36 巻 5 号 p. 949-957

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抄録

内視鏡的食道粘膜切除術で切除可能な範囲(深度,広さ)を把握するため,臨床材料の病理組織学的検索と雑種成犬を用いた実験的検討を行った.切除深度については粘膜癌の食道腺導管内伸展を考慮し,食道腺に注目した. 粘膜下層内注入により食道腺は粘膜層とともに挙上され,固有筋層との間隔が広がった.粘膜下層内注入と吸引の後絞扼切除する方法では,一回切除でも分割切除でも粘膜下層の食道腺まで切除可能であった.人工潰瘍は各切除の中心部で深く,全体は平皿型となった.吸引を併用する場合,粘膜下層内注入を確実に行うことが肝要であり,これにより切除深度の安定性と安全性(穿孔回避)が確保された. 以上の結果から,深達度m3~sm1の癌も粘膜切除術で原発巣の完全切除が可能であることが示唆された.また,分割切除でも一回切除と同等の効果が期待される.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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