日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的粘膜切除術後における胃粘膜下層血管の構築に関する実験的検討
成宮 徳親佐藤 博光常喜 真理小田切 理純岩崎 仁彦杉本 泉武内 力鎌倉 広俊渡辺 俊明田中 照二
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1994 年 36 巻 5 号 p. 958-963

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抄録

内視鏡的粘膜切除術(EMR)によって粘膜下層の動脈がどのような影響を受けるかを動物実験により検討した.実験には成犬15頭を用い,胃バリウムゼラチン注入透徹標本を作製した.成績は以下の通りである.1)粘膜下層の動脈内径の平均値はC領域519.8±154.8μm,M領域466.4±128.7μm,A領域354.4±47.8μmであり,動脈内径はA領域に比べC領域,M領域で有意に太かった.2)粘膜下層の動脈を胃壁断面像で観察すると,筋層貫通後,細動脈の分枝を出しながら粘膜下層の中層を直線状もしくは粘膜の彎曲に沿って走行していた.3)動脈を平面像で観察すると,動脈は樹枝状に横走し細動脈の分枝を出し,末梢でネットワークを形成していた.4)EMR後残された切除部とくに粘膜下層動脈を観察すると,粘膜欠損部にほぼ正常の状態で粘膜下層動脈が残存している場合と,粘膜欠損部の辺縁に粘膜下層動脈の断端が露出している場合とがあった.

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