1994 年 36 巻 5 号 p. 992-998_1
異所性胃粘膜下嚢腫は比較的稀な疾患で最近胃癌との併存が注目されている.しかし,従来術前診断は困難で切除標本による病理組織学的診断に頼っていた.われわれは最近,細径プローブ超音波内視鏡(20MHzソノプローブシステム)を用い多彩な凹凸不整粘膜下の第2層から3層にかけて大小不同の円形・連珠状の低エコー域を示した異所性胃粘膜下嚢腫の4例を経験した.組織学的には粘膜下層に拡張した腺管を有する2例と他の2例に早期胃癌の合併を認めた.超音波検査の精度の向上と精査のルチーン化に伴い,このような粘膜下病変に対し積極的に内視鏡下の超音波検査を行なうことは有用であり,手術適応・切除範囲の決定に有意義と思われた.