抄録
粘膜透過性に優れた赤外線を光源とする赤外線電子内視鏡を用いて,食道静脈瘤のIndocyanine green(ICG)負荷赤外光観察を行い,得られた赤外画像と通常光画像を比較検討するとともに,画像解析によりICG負荷赤外画像の関心領域内での食道粘膜の造影効果について数値的検討を行った.治療前の静脈瘤はICG負荷赤外観察により静脈瘤や周囲表在血管が明瞭に描出されるが,治療後では太い血管陰影は描出されず食道粘膜の造影程度も低下した.これら造影程度の差は画像解析により有意差をもった統計量の差として数値的に評価することが出来た.以上から硬化療法前後のICG負荷赤外光観察像に対し画像解析を行うことで治療に伴う粘膜深層を含めた血流動態の改変の評価も可能と思われた.実際,赤外観察下に終了判定を行った症例の累積再発率は通常光下判定例に比し有意に低く,ICG負荷赤外光観察法は静脈瘤の評価や,硬化療法の効果判定に有用な検査法であると考えられた.