大腸内視鏡にて観察した蟯虫症の2例を経験した.症例1は60歳女性,腹部膨満感の精査目的にて大腸内視鏡検査を施行した.盲腸にて白色の虫体を確認し,生検鉗子にて摘出しようとしたが逃げられ,ホットバイオプシー鉗子の通電により弱ったところを摘出し,形態より蟯虫症と診断した.症例2は37歳男性,大腸癌検診の精査目的にて,大腸内視鏡検査施行,下行結腸と虫垂入口部にそれぞれ1匹ずつ観察,同様の方法にて摘出し蟯虫症と診断した.蟯虫症の症状は肛門周囲の痒み程度であるが,未だ寄生率も高く,今後大腸癌検診の普及に伴って症例の増加も考えられ,虫体の発見は治療および感染予防に重要である.