日本消化器内視鏡学会雑誌
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経過観察および術式決定に内視鏡的アプローチが有用であったいわゆる分枝型粘液産生膵癌の1切除例
八子 章生藤田 直孝野田 裕小林 剛木村 克巳望月 福治
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1995 年 37 巻 10 号 p. 2240-2246_1

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抄録

2年6カ月間超音波内視鏡(EUS)で経過を観察した後に切除した分枝型粘液産生膵癌を経験したので報告する.症例は63歳,女性.肝硬変の経過観察中の腹部超音波検査にて膵鈎部の嚢胞性病変が指摘された.ERCP,EUSにて粘液産生膵腫瘍と診断したが,肝硬変が高度のため経過観察となった.しかし,1年後,2年6カ月後に施行した経過観察のEUSで嚢胞内の乳頭状隆起の増大を認めた.経口的膵管内視鏡で腫瘍が主膵管内へ進展していないことを確認し膵鈎部切除術にて切除した.病理組織学的には膵管分枝内に限局した腺腫内癌であった.本症の質的診断及び経過観察に対するEUS,術式の決定に対する膵管内視鏡の有用性について若干の文献的考察を加え述べた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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