日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸癌と甲状腺乳頭癌を重複した家族性大腸腺腫症の1例
池澤 和人樫村 博正三代 寧中原 朗山形 迪松崎 靖司武藤 弘福富 久之大菅 俊明折居 和雄深尾 立菊池 正教
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1995 年 37 巻 5 号 p. 1019-1027

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抄録

症例は41歳女性.29歳より計5回の甲状腺乳頭癌の手術歴があり,1992年7月腹痛のため当科を受診した.下部消化管精査の結果大腸全域にびまん性の腺腫性ポリープが密生し,また,横行結腸に全周性の内腔狭窄を併う2'型大腸癌,S状結腸に1'型大腸癌,下行結腸にIsp'型大腸癌を認めた.胸部X線,肺CTにて3カ所に小結節陰影が認められ,大腸癌及び甲状腺乳頭癌の肺転移を伴った家族性大腸腺腫症と診断し,全結腸切除回腸直腸吻合術及び肺部分切除術を施行した.家族性大腸腺腫症は放置すればほぼ100%大腸癌に罹患することが知られているが,甲状腺乳頭癌を重複した報告は稀であり,文献的考察を加えて報告した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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