日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡下大腸手術におけるリニアプローブの有用性について
田代 和弘日高 久光廣国 敏昭井上 文孝鹿毛 政義
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1996 年 38 巻 1 号 p. 13-19_1

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抄録

大腸疾患に対する腹腔鏡下手術におしいて,病変部の位置確認や診断のために術中に超音波装置を使用し,その有用性について検討した.1993年12月から1995年3月までに行った腹腔鏡下大腸切除は12例で,その内の8例(虫垂粘液襄胞腺腫1例・粘膜下腫瘍1例・早期癌[m:1例,sm:3例]4例・進行癌[mp]2例)に腹腔鏡下超音波検査を行い,病変部の描出能や癌の壁深達度の確認について検討した.結果は1)嚢胞性疾患における悪性変化の有無の判定(1例),2)病変部の局在やマーカークリップの描出(5例),3)癌の深達度診断(2例)に賄効な髄法であった.さらに病変部周辺の脈管系の描出は全例に可能であった.以上より腹腔鏡下超音波検査は,大腸病変の局在診断や質的診断さらには治療方針の決定に有用であると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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