日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的膵管口切開術(EPST)の有用性
村上 和成時枝 正史久保田 利博末綱 純一本田 昇司藤岡 利生那須 勝
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1996 年 38 巻 1 号 p. 26-35

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抄録

われわれは,良性,悪性を問わず膵頭部主膵管に狭窄の原因があると考えられる症例の診断・治療の目的に内視鏡的膵管口切開術(EPST)を施行している.対象は慢性膵炎15例,腫瘍性病変4例,嚢胞性病変1例の計20例であった.10例の膵石症のうち8例(80%)はバスケット鉗子や体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)を併用し,排石または膵石の著明減少に成功した.EPSTを施行した慢性膵炎の疼痛の消失や膵酵素の改善は,15例中14例(93%)と良好であった.一方,腫瘍性病変を含め5例にEPST後,組織診を目的に膵生検を施行し,2例に悪性所見を得た.乳頭部癌の1例には胆管,膵管ステント留置を併用した.以上よりEPSTにESWL,エンドプロステーシス留置,純粋膵液採取法等の内視鏡的治療を組合せることにより乳頭側主膵管狭窄の解除ならびに膵液ドレナージの改善が期待された.また,膵生検を付加することにより,膵病変の確定診断の助けにもなると考えられた.

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