1996 年 38 巻 1 号 p. 51-57
症例は49歳の男性.発熱を主訴に当院を受診した.入院時身体所見では頸部,腋窩部,鼠径部のリンパ節腫大を認めた.鼠径部リンパ節の生検組織所見はimrnunoblastic lymphadenopathy likeT-cell lymphornaであった.経過中大腸内視鏡検査で横行結腸からS状結腸に多発性ポリープ様病変を認め,生検結果からも腫瘍細胞の粘膜下への浸潤が認められたため,multiple lymphomatous polyposisと診断した.CAMBO-VIP療法を行い,大腸病変の完全消失と症状の寛解をみたが,5カ月後に再発をきたし死亡した.文献的検索にても全身性のIBL like T-cell lymphomaに随伴するMLPの報告例はなく,本例は全身性悪性リンパ腫と消化管病変との関係,さらにはその治療を考える上で非常に興味深い症例と思われたので報告する.