1996 年 38 巻 1 号 p. 85-91_1
症例は61歳,女性.肝胆道系酵素の上昇と肝内胆管の拡張のため入院.内視鏡にて,十二指腸に高度の狭窄を認めた.ERC像では総肝管に高度の狭窄を認め肝門部胆管癌と診断し,PTCDを施行後胆管狭窄部にWallstentを留置した.経過中,胆管癌の浸潤による十二指腸の狭窄症状(頻回の嘔吐)が出現したため,十二指腸狭窄部にZ-stentを留置した.Z-stent留置後約3週間再び摂食可能となった.本例は患者のQOLの点から悪性十二指腸狭窄に対するZ-stent留置が有用な治療法であることを認めた本邦最初の症例と考え報告する.