日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸結節集簇様病変がBorrmann2型病変に進展した1症例
北村 儀雄広岡 大司太田 善夫大地 宏昭片岡 伸一豊永 高史土細 工利夫
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1996 年 38 巻 10 号 p. 2470-2475_1

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抄録

 大腸の結節集簇様病変は比較的まれであり,発育が緩徐で悪性化は少ないとの報告が多い.症例は83歳,女性.3年前に注腸透視,大腸ファイバーにより横行結腸に結節集簇様病変を指摘されていた.当時の生検病理結果は中等度異型腺腫だった.患者は内視鏡的治療,外科治療を拒否した.3年後腹部エコーで横行結腸の腫瘤を指摘された.注腸透視にて横行結腸の全く同部位にBorrmann 2型進行癌を指摘され,3年前の結節集簇様病変から進行したものと判断した.内視鏡的にもBorrmann2型進行癌で,生検で中分化腺癌が証明された.右半結腸切除が施行された.切除標本は組織学的にも腺腫成分はなかった. この症例は,われわれがふだんみている進行癌の中に結節集簇様病変から進展したものが含まれていることを示唆している.結節集簇様病変が,このような進展を示した報告はわれわれが検索した範囲ではなく,人腸癌の発育・進展を理解する上で重要と考える.

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