日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡治療早期胃癌症例の局所及び生命予後に関する検討
五石 宏和田中 信治春間 賢平賀 裕子國弘 真己大津 直也濱田 雅典神安 敏樹河本 邦彦河口 弘行吹野 陽一隅井 雅晴吉原 正治隅井 浩治梶山 梧朗嶋本 文雄
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1996 年 38 巻 2 号 p. 294-300_1

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抄録

早期胃癌(m癌)内視鏡治療症例について,内視鏡的粘膜切除術(EMR)を中心に分割切除やレーザー照射併用療法の局所遺残・再発および生命予後を検討した.対象は当科で根治的に内視鏡治療を試みた胃m癌63例65病変(分化型,Ul(-),ly0,v0)で,今回は径2cmを越える病変も対象とした.一括切除25病変では,遺残,再発とも認めなかった,分割切除10病変では遺残1病変(追加手術施行)で,他の9病変は再発を認めなかった.レーザー照射併用30病変では,遺残2病変(追加手術施行)で,経過観察した28病変中1病変に術後21カ月目に再発を認めたが,内視鏡治療を追加し以後再発を認めていない.径2cmを越える病変(12病変)にも再発はなく,また,死亡例はすべて他因死だった.以上,分割切除やレーザー照射併用は,早期胃癌の根治治療法として,一括切除と同等の効果が得られるものと考えられた.さらに,径2cmを越える病変でも技術的に困難な部位を除けば根治可能であることが示唆された.

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