1996 年 38 巻 7 号 p. 1524-1528_1
胃切除後12年目に起こった急性輸入脚症候群の1例を経験し,緊急内視鏡検査を施行し保存的に軽快せしめたので,若干の文献的考察も加え報告した.症例は,54歳,男性.腹痛と嘔気を主訴に来院した.高アミラーゼ血症と腹部Computed tomography(CT)にて輸入脚の著明な拡張を認め急性輸入脚症候群と診断した・緊急内視鏡検査で内視鏡を輸入脚内に挿入したことを確認した.さらに,十二指腸粘膜に壊死など血流障害の所見も認められなかった.検査後,腹痛は軽減し,腹部CT検査でも,十二指腸の拡張は改善した.輸入脚症候群の診断および治療法として,緊急内視鏡検査は有用であると考えられた.