日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
微細径膵管内視鏡の診断能向上に関する研究
小林 正彦
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 38 巻 9 号 p. 2147-2159

詳細
抄録

 膵管内視鏡検査を行なった44例のうち手術例14例(膵癌13例,慢性膵炎1例)に対し術前の膵管各部の内視鏡所見と術後病理組織所見との対比検討を行なった.内視鏡像で,隆起および粘膜の凹凸不整は主膵管上皮を置換して内腔に進展した腫瘍組織を,わずかな陥凹を伴う発赤は主膵管上皮下あるいは上皮に浸潤した腫瘍組織の存在を示すことを明らかとした.さらに,これら粘膜面の変化を示す内視鏡像をより詳細に把握し,より明瞭化させるべく画像処理を応用し検討した.その結果,適応型帯域強調処理は近接像における微細構造および遠景像における輪郭部分の明瞭化に,ペイントアウト処理は遠景の暗い部分の明瞭化に有用であることを明らかにした.また動画像の記録メディアの小型化を目指して,従来のUマチックテープに替わり3.5インチ光磁気ディスクの使用を検討し,連続録画時間を延長し適切な圧縮法を採用することにより十分実用可能であることを明らかにした.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
次の記事
feedback
Top