症例は70歳,女性.1988年胃集検で胃病変が指摘され来院.胃ポリープを認め経過観察を行うことにした.1991年の検査では胃ポリープとは別に,胃体中部後壁に隆起病変を認めた生検ではgroup IIIであった.さらに1992年7月の内視鏡検査では,胃病変とともに中部食道に発赤を認め,表在平坦型(0-IIb)食道癌と診断された.同年9月,両病変に対してEMRを施行した.食道病変は7×6mmの0-IIb,ml,中分化型扁平上皮癌であった.胃病変はEMR後の組織診断では0IIa,m,tub1の早;期胃癌と診断された.以上から同時性食道胃早期重複癌と診断され,両病変ともに内視鏡的粘膜切除(EMR)により切除しえた症例である.なお3年半後の現在まで,両病変ともに再発を認めていない.