抄録
症例は43歳,男性.平成5年1月9日心窩部痛,嘔気のため当内科を受診した.1月16日上部消化管内視鏡検査で,門歯より32cmの食道後壁に縦に並んだ,赤色調,類:円形の軽度の陥凹性病変を2個認め,その大きさは近位側のものが径約3mm,遠位側のものが径約5mmであった.2か所の病変部からの生検では,正常食道扁平上皮と連続して噴門腺の組織が認められ,食道異所性胃粘膜島と診断した.平成6年3月12日の内視鏡検査では,遠位側の病変に明らかな縮小変化を認めた.これは食道粘膜欠損が円柱上皮に置き換わったものであり,更に経過と共に再度扁平上皮に置き換わる過程を示したものと考えられ,食道粘膜障害の治癒過程における粘膜上皮の変化を考える上で貴重な症例と思われる.