抄録
内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行せずに,生検チャンネルとアングル機構を兼備した経口胆道スコープを胆管内に挿入する目的で,亜硝酸製剤の胆管内投与を併用した内視鏡的乳頭拡張術による経口胆道内視鏡検査を施行した. 胆道スコープの胆管内挿入率は90%と比較的良好で,挿入不能例はいずれも乳頭との適切な距離を保ったまま乳頭を正面視し得なかった症例であった.内視鏡的乳頭拡張術後は全例で乳頭からの血液のoozingを認めたが,特に止血処置は必要とせず,さらに胆道スコープの挿入によりoozingが増悪することはなかった.合併症として15%に急性膵炎を認めたが,全例で保存的に軽快した.経口胆道内視鏡検査の施行目的は,あくまでも診断が主体であり,本来生体が保有する生理機構を破壊せずに施行可能であることが望ましい.亜硝酸製剤の胆管内投与を併用した内視鏡的乳頭拡張術は,直視下生検を含めた経口胆道内視鏡検査において有用な手段であると考えられた.