症例は66歳,男性.粘液産生膵腫瘍の経過観察中のERCPの際,十二指腸主乳頭部(以下,乳頭部)の開口部隆起に表面穎粒状の腫瘍を認め,生検で高度異型を伴う腺腫と診断した.ERCPで膵,胆管に異常は認めず.造影剤の副乳頭からの流出も認めず,EUSで辺縁不整の低エコーの広茎性の腫瘍を認め,十二指腸膵および主膵管,胆管への進展は認めなかった.IDUSでも胆膵管への進展および膵実質浸潤を認めず,乳頭部腺腫と診断し内視鏡的切除術を施行した.病理組織学的に,背景に中等度から高度異型を伴う腺管絨毛腺腫の一部に高分化腺癌を認めた.術後,高アミラーゼ血症を認めたが保存的治療にて寛解した.術後の色素散布による副乳頭は非開存例であった.術前,腺腫と診断され術後腺腫内癌と診断された十二指腸乳頭部腺腫内癌の1例を経験し,内視鏡的乳頭切開術42報告例の検討を含めて報告する.
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