抄録
症例は57歳の男性.昭和62年(50歳時)注腸検査にて下行結腸脾弯曲部に径約1.5cmの隆起性病変を指摘され,大腸鏡検査にて表面平滑な暗青色調の隆起性病変を呈し,大腸血管腫が疑われた.定期的に経過観察されていたが,平成6年6月の大腸鏡検査にて径約3cmに増大し,静脈瘤様の青黒い凹凸調隆起を呈した.血管造影にて中結腸動脈左枝にhypervascular massを認め,出血の可能性を考慮し,大腸部分切除術が施行された.病理組織学的に,拡張性の静脈性血管が集簇する血管腫と診断された.大腸血管腫は稀であり,貧血,下血にて発見され外科的切除されることが多いが,無症状にて長期観察しえた例は報告はなく,本症の発育進展を示す貴重な症例と考えられた。