抄録
食道静脈瘤8例を対象に,多方向からの撮影が可能なデジタル血管撮影装置を用いて内視鏡的硬化療法(EIS)を試みたのでその有用性について報告する.撮影可能方向については,正面と第1斜位像は全例で,第2斜位と側面像は3例で得られた.供血路として噴門静脈叢は88%,左胃静脈噴門枝は100%,後胃静脈は38%,短胃静脈胃底枝は38%に認めた.一方,食道外の排血路として傍食道静脈は50%,縦隔静脈は25%と高率に認め,これらの静脈を認めた時点で硬化剤注入を中止した.血管内硬化剤(5%EOI)総注入量は7~33mlで安全域内であった.治療前後での肝機能検査値や門脈血行動態に大きな変化は認めなかった.EISにおけるデジタル血管撮影装置の使用は,体位変換することなく多方向からの硬化剤注入血管の同定を可能とし,硬化剤注入量を精密にコントロールできることから,肝機能や門脈血行動態への影響を極力抑えることができるものと思われた.