日本消化器内視鏡学会雑誌
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結節集簇様大腸病変の内視鏡診断と治療法の検討
水田 陽平野元 健行梶山 浩史南野 淳南野 康矢野 良嗣福田 康弘山澤 紀子牧山 和也原口 増穂伊津野 稔井上 健一郎宿輪 三郎松永 圭一郎河野 茂
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1997 年 39 巻 2 号 p. 169-174

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抄録
内視鏡的または外科的に切除された結節集簇様大腸病変44症例45病変について,主に内視鏡所見と病理組織所見を対比し,その治療方針について検討した.腺腫は22病変で,担癌病変は23病変(腺腫内癌20病変,全体癌3病変)であり,癌深達度はm癌17病変,sm癌5病変,mp癌1病変であった.担癌率は腫瘍径,結節均等性,陥凹所見と有意な関係を認め,陥凹のみられる病変では有意にsm以深への浸潤を認めた.またsm以深浸潤病変では発赤,粗大結節,陥凹の少なくともいずれかが認められた.治療法の選択においては主に癌深達度と大きさが問題となる.前者では,陥凹を認める病変は外科的切除を選択し,粗大結節が混在する病変や腫瘍径が大きい病変では担癌性が高いことを念頭に置いて,超音波内視鏡検査の併用のもと方針を決める必要があると思われた.後者では,内視鏡的治療は40mm以下の病変において安全かつ確実に行える成績であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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