日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
39 巻, 2 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 真田 淳, 角谷 宏, 斉藤 利彦
    1997 年 39 巻 2 号 p. 151-161
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1992年6月より孤立性胃静脈瘤に対し,カテーテル留置法を用いた経静脈的塞栓術(Transvenous Obliteration of Porto-systemic Shunt; TOPS)を28例に施行し,26例に消失が得られた.本法は,EO(5% Ethanolamine oleate with iopamidol)の1回注入量を安全域である20m1以下とし,24時間間隔で注入する反復注入法である.本法はカテーテルを留置することで,平均治療回数は2.39回,平均EO総注入量は32mlで,92.9%に完全消失が得られた.合併症を発熱72.7%,一過性高血圧50.0%,血尿31.8%,上腹部痛36.3%に認めたものの,重篤な副作用はみられなかった.TOPS施行後の累積生存率は1年,87.6%,3年73.6%であったが,死因は肝不全4例,肝癌死2例であった.食道静脈瘤の再発が8例あったものの胃静脈瘤の再発はなく,本法は孤立性胃静脈瘤に対し安全で確実な治療法と考えられた.
  • 中村 真一, 光永 篤, 村田 洋子, 鈴木 茂, 林 直諒
    1997 年 39 巻 2 号 p. 162-168
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的硬化療法もしくは内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoncopic variceal ligation: EVL)後のF0~F1再発食道静脈瘤に対し,高周波凝固法を用いて静脈瘤を焼灼し消失させる目的で内視鏡的静脈瘤高周波焼灼術(Endoscopic variceal electrocoagulation: EVE)を施行し,従来の1%Aethoxysklerol (1%AS)による静脈瘤外注入硬化療法(1%AS硬化療法)と治療成績,合併症について比較検討し,その有用性を考察した. EVEを8例(100%)に施行し,治療後6カ月時の治療効果判定で,消失5例(62.5%),軽度残存3例(37.5%),中等度および高度残存0例(0.0%)であり,1%AS硬化療法に比し良好な治療成績で,かつ合併症も少なかった. EVEは食道粘膜表層に存在するF0~F1静脈瘤を直接焼灼し消失させる手技で,形成される潰瘍も浅く均一で,術後の疼痛,つかえ感が少なく食道狭窄をきたしにくい.EVEはF0~F1再発食道静脈瘤に対する合理的で有用な治療法であると考える.
  • 水田 陽平, 野元 健行, 梶山 浩史, 南野 淳, 南野 康, 矢野 良嗣, 福田 康弘, 山澤 紀子, 牧山 和也, 原口 増穂, 伊津 ...
    1997 年 39 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的または外科的に切除された結節集簇様大腸病変44症例45病変について,主に内視鏡所見と病理組織所見を対比し,その治療方針について検討した.腺腫は22病変で,担癌病変は23病変(腺腫内癌20病変,全体癌3病変)であり,癌深達度はm癌17病変,sm癌5病変,mp癌1病変であった.担癌率は腫瘍径,結節均等性,陥凹所見と有意な関係を認め,陥凹のみられる病変では有意にsm以深への浸潤を認めた.またsm以深浸潤病変では発赤,粗大結節,陥凹の少なくともいずれかが認められた.治療法の選択においては主に癌深達度と大きさが問題となる.前者では,陥凹を認める病変は外科的切除を選択し,粗大結節が混在する病変や腫瘍径が大きい病変では担癌性が高いことを念頭に置いて,超音波内視鏡検査の併用のもと方針を決める必要があると思われた.後者では,内視鏡的治療は40mm以下の病変において安全かつ確実に行える成績であった.
  • 中村 志郎, 大川 清孝, 原 順一, 渡辺 芳久, 斯波 将次, 上田 渉, 渡辺 憲治, 鈴木 典子, 足立 賢治, 小畠 昭重, 押谷 ...
    1997 年 39 巻 2 号 p. 175-182
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    過去10年間に経験した急性出血性直腸潰瘍50例について,その臨床像と内視鏡所見の特徴をこれまでの報告と比較検討した.患者はこれまでと同様に男性20例,女性30例と女性に多く,平均76.3歳の高齢者であった.入院時原疾患では脳血管障害が18例と最も多かったが,下血や脱水のみの14例や大腿骨頸部骨折の7例など全身状態の良好な症例も多く,本症が重篤な基礎疾患を有する患者に限らず発症することが明らかとなった.併存症では28例に高血圧,11例に糖尿病を認め,さらに詳細の明らかな48例中47例が発症時寝たきり状態にあり,本症の発症には動脈硬化の要因と寝たきり状態という身体的要因が深く関係していると考えられた.また,本症では無痛性大量鮮出血が特徴とされるが,肛門痛のみの2例や極少量の出血の9例などがみられた.内視鏡所見では,潰瘍は多発傾向で歯状線直上の下部直腸に局在し,記載の明らかな47例中29例が全周性潰瘍を呈し,これが本症に特徴的な所見と考えられた.また,患者体位を側臥位にすることが治療法として有用である可能性が示唆された.
  • 白根 昭男, 坪野 吉孝, 久道 茂
    1997 年 39 巻 2 号 p. 183-190
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1974年7月から1991年12月までの17.5年間に1年以上経過観察した胃潰瘍160症例のうち,潰瘍とは別の部位に胃癌の発見された症例は11例6.9%である.その内訳は早期胃癌10例13病巣,進行癌1例1病巣であり,早期癌のすべてがIIc型で,深達度はレーザーにより焼灼した1病巣を除く12病巣すべてがm癌であった.癌の占居部位はM領域に11病巣,A領域に3病巣で,胃潰瘍と癌の位置関係は8病巣が潰瘍の肛門側に,5病巣が潰瘍と同じ高さに,潰瘍の口側は1病巣のみであった.胃癌発見までの平均観察期間は4.7年であった.この成績と1983年から1987年までの宮城県の癌登録データを用いて計算した胃癌の罹患期待値と比較したところ,胃潰瘍患者の胃癌発見リスクは,男性については一般人口集団男性の6.19倍で,95%信頼区間では2.84-11.76と有意に高かった.
  • ―静脈瘤径からみた硬化剤の選択―
    落合 浩暢, 小原 勝敏, 東條 淳, 滝口 藤夫, 入沢 篤志, 坂本 弘明, 西問木 友衛, 粕川 禮司
    1997 年 39 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    硬化療法(EIS)前後に超音波内視鏡( EUS) を施行した孤立性胃静脈瘤(Lg)18例を対象として,術前の内視鏡所見およびEUS所見と治療薬剤 (α-cyanoacrylate monomer (CA)) についてretrospectiveに検討した.18例中,F2,F3はそれぞれ9例であり,F因子別のEUSによるLg血管径は,F3において有意に径が大きかった (P< 0.05) .しかし,F因子とLgの胃壁貫通血管径には有意差は認められなかった.Lgの治療として, 18例中14例にCAを使用した.これら14例のLg径とCA使用量との間に,正の相関を示し (r=0.65) ,Lg径の増大とともにCA使用量は増加した.Lg径が5mm以上の症例は12例で,そのうち91.6%にCAが使用された.また,5例はCA注入量が2.4ml以上を必要とし,複数回のCA注入が必要であった.一方,EUSによる貫通血管径とCA注入量には相関関係を認めなかった.以上よりEIS前のEUSによるLg径測定は,CA使用の適否および有効なCA注入量の決定に重要と思われた.
  • 印牧 直人, 中澤 三郎, 乾 和郎, 芳野 純治, 山雄 健次, 山近 仁, 奥嶋 一武, 岩瀬 輝彦, 滝 徳人, 中村 雄太, 寺本 ...
    1997 年 39 巻 2 号 p. 199-207
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    超音波3次元走査プローブシステムを用いた3次元管腔内超音波検査(3D-IDUS)を胆道疾患を有する症例に行い,その臨床的有用性について検討した.超音波3次元走査プローブシステムは12MHzあるいは20MHzの周波数をもつ細径超音波プローブを使用し,一度のスキャンでラジアル画像とリニア画像がリアルタイムに同時に得られ,両画像を同時に観察することにより3次元的な診断が可能であった.PTBD実施中の16例に対して3D-IDUSを行い,全例で胆管を中心に脈管の走行や臓器との関係,腫瘍の進展などに関して3次元的な診断が行えた.さらに,腫瘍の全体像が描出できた下部胆管癌の3例では腫瘍体積の測定が可能であった.今後3D-IDUSを使用することにより,IDUSの診断能の向上が期待される.
  • 五味 博子, 三村 治美, 塩島 純子, 小柳 光仁, 有村 隆, 浅井 和規, 山村 真吾, 友野 寛樹, 正岡 一良, 黒沢 進, 屋嘉 ...
    1997 年 39 巻 2 号 p. 208-212
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    急性汎発性膿痕性細菌疹acutegeneralized pustular bacterid(AGPB)は,現在までに約70例の報告があるが,食道病変の記載はない.症例は61歳,男性.1995年10月から掌蹠膿疱症を当院皮膚科で外用薬にて治療中であったが,1995年11月初旬感冒様症状後,口腔内を含む全身に膿疱が出現し,食道違和感を伴うため当科を受診した.内視鏡検査では食道全体に白色調円形水疱と,水疱上皮が剥離したびらん及び潰瘍が散在していた.胃,十二指腸に異常所見はなかった.1週間後の内視鏡検査では剥離した粘膜が白色粘膜隆起として認められ,剥離性食道炎の所見であった.抗生剤投与後,約3週間で治癒した.初診時の食道粘膜の病理組織標本にて皮疹と同様の膿疱と診断された.AGPBによる食道病変の稀な1例と考え報告した.
  • 松枝 和宏, 山本 博, 脇谷 勇夫, 鈴木 貴博, 濱本 博美, 木村 弥都子, 土居 偉瑳雄, 矢野 慧
    1997 年 39 巻 2 号 p. 213-220
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    o-ringを用いた内視鏡的静脈瘤結紮術(以下EVL)が有用であった十二指腸静脈瘤の2例を経験した.症例1は63歳男性のC型肝硬変Child B症例で吐下血にて入院.内視鏡検査でF2RC(廾)の食道静脈瘤と下十二指腸曲後壁にF3RC(-)の静脈瘤を認めた.出血源として食道が疑われ先ず前者に内視鏡的硬化療法(以下EIS)を行ない,次に後者に対しEVLを2回施行し(計5個のO-ring使用)静脈瘤は消失した.症例2は80歳男性のアルコール性肝硬変Child C症例で吐下血にて入院.内視鏡検査で十二指腸下行脚後壁に赤色栓を有するF3の静脈瘤を認め出血源と考えた.直ちにEISを試みるも静脈瘤造影がみられないため中止しEVLを施行した.計2回EVLを施行し(計3個のo-ring使用)静脈瘤は消失した.2症例ともに重篤な合併症は認めず短期問の観察ではあるが再発もみられず,EVLは十二指腸静脈瘤に対し有用な治療法の一つと考えられた.
  • 黄 麗明, 太田 慎一, 矢沢 麻佐子, 松崎 宸
    1997 年 39 巻 2 号 p. 221-225
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性.平成7年近医で肝硬変と診断された.平成8年4月黒色便が出現し,出血源精査のため当院入院.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行脚に中心部発赤陥凹を伴う静脈瘤を認めた.肝予備能不良のためEVLを施行し,効果的かつ安全に静脈瘤を消失せしめた.十二指腸静脈瘤の症例は少なく,未だ止血法が確立されていないが,自験例はEVLの十二指腸静脈瘤治療における有効性を示唆する症例と考えられた.
  • 山本 博, 松枝 和宏, 脇谷 勇夫, 島 修二, 濱本 博美, 鈴木 貴博, 木村 弥津子, 石山 修平, 杉本 英光, 土居 偉瑳雄, ...
    1997 年 39 巻 2 号 p. 226-232
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性で吐下血を主訴に当院へ紹介入院となった.緊急内視鏡検査で十二指腸第II部に噴出性あるいは湧出性の出血を認めたため,出血部位の性状は不明瞭であったがHS-E局注により一次止血をはかった.翌日,十二指腸出血部位は潰瘍を伴わない平坦な発赤点として観察された.血管性病変を予測し,マイクロ波凝固を行なうこととし針状電極にて40ワット15秒の通電を8回施行した.後日更に2回のマイクロ波凝固を追加し血管病変は消失し止血が得られた.第14病日目に腹部血管造影を施行したところ,膵頭十二指腸領域,膵体尾部領域に動脈相早期より網状の新生血管が描出され,膵周囲静脈と門脈の早期の描出が証明された.膵全体の広範な動静脈奇形のため外科的切除は考えず保存的加療としたが,その後便潜血は陰性となっている.
  • 宮崎 守成, 小島 孝雄, 伊藤 弘康, 松本 尚之, 落合 淳, 原瀬 一郎, 金武 康文, 酒井 勉, 加藤 隆弘, 奥田 順一, 井田 ...
    1997 年 39 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    31歳男性.肝外門脈閉塞症のため,部分胃切除術,脾滴術,食道静脈瘤硬化療法,および腸間膜静脈血栓症のため,空回腸部分切除術を受けている.下血を主訴に入院.内視鏡により十二指腸静脈瘤を認め,その出血点に対し内視鏡的静脈瘤結紮術を施行し,止血に成功した.2ヵ月後の内視鏡では,同部位の静脈瘤は消失し瘢痕化していた.EVLは安全かつ簡便であり,十二指腸静脈瘤破裂の緊急例に対しても有用な方法と考えられた.
  • 丸山 克之, 高橋 均, 前田 重成, 坂田 育弘, 松井 繁長, 高幣 和郎, 井上 良一, 足立 幸彦
    1997 年 39 巻 2 号 p. 239-243
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.大量下血を呈し当救命救急センターに入院.小腸二重造影検査,腹部血管造影,出血シンチグラムの結果から回腸中部での出血性病変を疑った.下血が持続するために緊急開腹下に術中内視鏡検査を施行し,回腸に発赤・ビランを伴う小隆起を確認して切除した.病理組織学的に毛細血管腫と診断された.本症の発生頻度は稀であるが,重篤で致死的な経過をたどることもあり,迅速な診断及び治療が必要である.
  • 徳富 研二, 星野 恵津夫, 大瀬 亨, 大林 隆晴, 箕田 進, 籏原 照昌, 日下 洋
    1997 年 39 巻 2 号 p. 244-248
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    腸管べーチェット病として長期経過観察中の2症例で,内視鏡的に肉柱様中隔により回腸末端が二腔に分けられた,いわゆる"double lumen ileum"の形態を認めた.その生成機序は下堀れの深い潰瘍の穿通により回腸―回腸瘻を形成したものと考えられた.従来,炎症性腸疾患でこのような形態を呈したという報告はなく,腸管同士の瘻孔をしばしば形成するクローン病においてもその報告は見られなかった.
  • 篠原 靖, 福田 定男, 武田 一弥, 武井 和夫, 糸井 隆夫, 中村 和人, 大塚 伸之, 横井 正人, 堀部 俊哉, 角谷 宏, 河合 ...
    1997 年 39 巻 2 号 p. 249-256
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.健診にて肝機能異常を指摘され,精査目的にて当科を受診した.腹部US,EUSでは総胆管は不規則な肥厚像を呈し,ERCPでは下部胆管の狭窄と不規則な数珠状変化を呈した.原発性硬化性胆管炎と診断したが,胆汁細胞診でclass-IIIbとの結果を得たため,胆管癌合併の有無を確認する目的でPTCSを施行した.胆管粘膜は粗造で,発赤,瘢痕および憩室様所見を認めたが,胆道鏡下生検も含めて悪性所見は認めなかった.経皮的ドレナージルートの設置後より肝機能は正常化したため,PTCS下にマイクロウェーブを用いて胆管狭窄部を凝固・拡張し,ドレナージチューブを抜去した.狭窄解除後30カ月の現在まで肝機能は正常で経過している.
  • 1997 年 39 巻 2 号 p. 257-262
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 39 巻 2 号 p. 263-280
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 39 巻 2 号 p. 281-289
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 39 巻 2 号 p. 290-301
    発行日: 1997/02/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top