日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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出血性胃潰瘍における内視鏡的止血不能予測に関する臨床統計学的研究
水町 宗治山崎 隆弘藪下 芳子山口 裕樹川野 博章花田 浩中村 弘毅多田 正弘沖田 極
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1997 年 39 巻 8 号 p. 1384-1391

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抄録
 内視鏡的止血不能な出血性胃潰瘍の内視鏡的特徴を検討するため1990~1994の5年間に当施設にて内視鏡的止血術を行なった出血性胃潰瘍128症例について,潰瘍の部位(L因子),大きさ(S因子),深さ(D因子),露出血管の潰瘍底における位置(L/V因子)および突出度(P因子),活動性出血(A因子),年齢の7因子について内視鏡的止血不能との相関をSpearman法を用い検討した.止血法はエタノール局注法,高張ナトリウムピネフリン溶液局注法,クリッピング法の単独あるいは併用を行なった.止血不能例に対しては動脈塞栓術あるいは手術を行なった.永久止血114例(89.1%),再出血(内視鏡的止血可)5例(3.9%),内視鏡的止血不能9例(7.0%),うち手術6例(4.7%),動脈塞栓術3例(2.3%)であった.活動性出血(p=0.0006,r=0.29797),露出血管の突出度(p=0.0010,r=0.29602)が内視鏡的止血不能との相関を認め,これら2因子が内視鏡的止血不能と最も関連していた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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