抄録
内視鏡的止血不能な出血性胃潰瘍の内視鏡的特徴を検討するため1990~1994の5年間に当施設にて内視鏡的止血術を行なった出血性胃潰瘍128症例について,潰瘍の部位(L因子),大きさ(S因子),深さ(D因子),露出血管の潰瘍底における位置(L/V因子)および突出度(P因子),活動性出血(A因子),年齢の7因子について内視鏡的止血不能との相関をSpearman法を用い検討した.止血法はエタノール局注法,高張ナトリウムピネフリン溶液局注法,クリッピング法の単独あるいは併用を行なった.止血不能例に対しては動脈塞栓術あるいは手術を行なった.永久止血114例(89.1%),再出血(内視鏡的止血可)5例(3.9%),内視鏡的止血不能9例(7.0%),うち手術6例(4.7%),動脈塞栓術3例(2.3%)であった.活動性出血(p=0.0006,r=0.29797),露出血管の突出度(p=0.0010,r=0.29602)が内視鏡的止血不能との相関を認め,これら2因子が内視鏡的止血不能と最も関連していた.