日本消化器内視鏡学会雑誌
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消化器疾患における超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診の検討
―第3報(膵・膵周囲腫瘤性病変に対する新しい穿刺システムの有用性について)―
寺本 佐世子山雄 健次中澤 三郎芳野 純治乾 和郎印牧 直人奥嶋 一武岩瀬 輝彦滝 徳人中村 雄太高島 東伸松本 純夫堀部 良宗今枝 義博
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1997 年 39 巻 8 号 p. 1376-1383

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抄録
 膵臓および膵周囲の腫瘤性病変の組織診断法は従来より体外式超音波ガイド下の生検が主体であったが,体外式超音波検査では描出の難しい膵頭部や膵尾部の病変では組織採取は困難であり,有効な採取法の確立が望まれている.超音波内視鏡ガイド下の穿刺吸引細胞診はこれらの弱点を補うべく開発された新しい組織診断法である.今回,同部位の腫瘤性病変44例(良性19例,悪性25例)を対象にその有用性を検討した.本検査法による検体採取率は86%であり,とくに悪性疾患では96%と良好な成績が得られた.また,良好な検体が得られた38例の悪性に対する正診率は87%と良好であり,成績の向上には新しく開発された穿刺システムの導入が大きく寄与した.本検査法は膵病変の良悪性の鑑別のみならず,悪性疾患のstagingや治療への応用も可能であり,今後ますます普及する検査法の一つとなり得ると考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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