日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡像および臨床病理組織像の検討からみた大腸結節集簇様病変の発育進展
中島 卓利安武 晃一西崎 朗長谷川 博司広畑 成也堀田 和亜佐野 亙
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1997 年 39 巻 9 号 p. 1566-1572

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抄録

直径10mm以上と定義した結節集簇様大腸病変43病変を,20mm以上の23例,10~20mmの20例にわけ,同様の形態を示す10mm未満の13病変とあわせ,内視鏡所見と病理組織所見を検討した結果,腫瘍径の増大とともに,内視鏡所見上結節均一,平盤状,正色調~褪色調のものから,結節不均一,非平盤状,発赤調のものが増加し(p<0.05),病理組織的には,腺管腺腫から絨毛成分を増し,癌合併例が増加した(p<0.05).以上より,大腸結節集簇様病変は比較的初期の段階で結節の均一な正色調の腫瘍形態をとり,暫時側方方向を中心に増大し,最終的には結節不均一,非平盤状となり,発赤調を伴ってくるものと考えられる.一方,組織学的には腺管腺腫から徐々に絨毛成分を増しつつその異型度が進行し,癌の発生をみるが,比較的長期間粘膜内にとどまりながら水平方向に発育し,その後垂直方向への浸潤が始まり進行癌にいたる発育過程が推測された.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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