超音波内視鏡(EUS)を用いて胃癌深達度診断を行ない,EUS診断基準の改良を試みた.病理組織診断の判明した胃癌170例の従来の診断基準での正診率は72%であった.誤診例の多くは潰瘍瘢痕を認め,そのEUS像は第3層の断絶,先細り中断が多く,潰瘍非合併正診例では不整中断を多く認めた.また第4層高度肥厚例ではss≦癌を多く認めたが,第4層軽度肥厚例では深達度の評価はできなかった.そこで第3層形態と第4層肥厚を考慮にいれた新たな診断基準を設定した.主な改良点は(1)第4層高度肥厚をss≦癌,(2)第4層が正常か軽度肥厚で第3層が先細り,断絶中断はm癌,(3)第4層軽度肥厚で第3層不整中断をmp癌,第3層肥厚をss≦癌,とした点である.新基準での正診率は81%で,特にm癌の正診率が59%から84%へ向上した.