日本消化器内視鏡学会雑誌
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DNA replication errorの検討を行った家族性胃癌の4例
益田 浩日山 亨松谷 憲政伊藤 雅啓大津 直也加藤 芳朗横崎 宏梶山 悟朗田原 榮一
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1998 年 40 巻 11 号 p. 1986-1991

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抄録

遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)においては,マイクロサテライトDNA領域におけるDNA replicationerror(RER)が80~90%と高頻度にみられる.一方,胃癌においても家族集積性にみられる症例がある.今回,われわれは家族性胃癌におけるRERの検討を行った.家族性胃癌の診断基準は,(A)家系内に3人以上の胃癌症例がある,(B)家系内に2人の胃癌症例があり,かつ(1)50歳以前の発症,(2)多発胃癌,(3)多臓器の腺癌,のいずれかを認めるものとした.家族歴の把握のできた78例中4例(5.1%)がこの診断基準を満たした.組織学的には3例が高分化型腺癌で1例が低分化型腺癌であった.RERはマイクロサテライト法により検討した.5カ所のマイクロサテライトDNA領域について検討したが,いずれの4例にもRER(十)は認められず,家族性胃癌はHNPCCとは異なった発癌経路をとることが示唆された.

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