日本消化器内視鏡学会雑誌
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消化性潰瘍と内視鏡
―診断・治療・病態生理―
西元寺 克禮大井田 正人
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1999 年 41 巻 1 号 p. 3-9

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抄録
 消化性潰瘍の治癒判定を主とした内視鏡診断,治療,病態生理について述べた.電子内視鏡の普及と共に,従来にも増して微細な診断と画像解析・処理が行えるようになった.治癒判定は,再発の有無の予測判定ともいえる.その瘢痕の内視鏡的特徴は白色で,しかも周辺健常粘膜と同様の微細構造と機能を有する像である.H. pyloriの除菌成功例では,再発しづらい潰瘍の特徴を呈すると報告されている. さらに,治療の残された課題である再発防止には維持療法は限界があり,H.pyloriの除菌が最も有効な治療法である.この除菌療法は,2種類の抗生剤とプロトンポンプ阻害剤を組み合わせた3剤併用療法(new triple therapy)が主流となりつつある. 病態生理も着々と新しい展開が開けつつあり,特にH.pyloriとの関連からみた胃酸分泌機構や胃粘膜防御機構の解明が進みつつあるのが現状である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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