抄録
症例は50歳,女性.大腸内視鏡で横行結腸に径8mmの粘膜下腫瘍(カルチノイド)を認め,粘膜切除術(EMR)を施行し切断面をクリップにて縫縮した.術後,心窩部痛と発熱が出現,腹部CTでfree airを認め穿孔性腹膜炎と診断したが,腹膜刺激症状を欠いたため保存的に治療した.その後,炎症所見は改善し10日後に退院した.切除標本内に固有筋層上縁を含み,穿孔の原因は筋層を巻き込んだためと考えられた.本例ではクリップ縫縮処置にもかかわらず穿孔し,粘膜下腫瘍のEMRに対して注意を喚起する症例と考えられた.