抄録
患者は80歳男性.主訴は便秘,肛門痛,腹痛.元来便秘傾向にあったが,肛門痛,腹痛が出現し入院した.腹部CTでS状結腸に多量の便塊があり,摘便後症状は消失した.摘便1週間後の大腸内視鏡検査でS状結腸に縦走から地図状潰瘍と敷石像類似粘膜,管腔狭小化があり,生検では非特異的炎症の所見のみであった.病変は排便習慣の改善により速やかに改善した.本例は宿便の部位に病変がみられたことでは宿便性潰瘍と一致したが,血便を欠いたこと,肉眼形態が従来の報告例と異なることなどが宿便性潰瘍と一致しなかった.本例と類似の肉眼形態をとる虚血性大腸炎が報告されているが,本例は虚血性大腸炎の診断基準を満たしていなかった.以上より本例は宿便性潰瘍と虚血性大腸炎の中間型と考えられた.