症例は79歳女性.感冒症状を主訴に来院.血液検査でHb4.8g/dl,Hct14.3%と高度の貧血を認め,精査加療目的で入院となった.上部内視鏡検査で,胃体部中心にびまん性の血管拡張と同部からの出血を認め,非典型的なDiffuse antral vascular ectasia(DAVE)と診断した.DAVEに対しマイクロ波凝固療法を施行し,輸血をすることなく貧血は著明に改善した.自験例では通常のDAVEと異なり,病変が胃幽門前庭部にはほとんど認められず,胃体部中心に認められた.本症例は,従来言われてきた前庭部病変と関連した発生機序では説明できず,DAVEの発生機序を考えるうえで示唆に富む症例と考えられた.