日本消化器内視鏡学会雑誌
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側視鏡が内視鏡的止血治療に有用であった十二指腸憩室出血の2症例
杉本 直俊奥野 優柏原 赳
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2000 年 42 巻 10 号 p. 2000-2005

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抄録
側視鏡が内視鏡的止血治療に有用であった十二指腸憩室出血の2症例を経験したので報告する.症例1は,吐下血を主訴とする70歳男性.脳梗塞の既往がありアスピリンを服用していた.傍乳頭憩室内のびらんからの出血でエピネフリン加高張食塊水(HSE)局注2mlにて止血した.症例2は,吐下血を主訴とする82歳女性.慢性関節リウマチにてNSAID(Loxoprofen Sodium)を服用していた.下十二指腸脚憩室内の露出血管からの出血で,HSE局注4mlにて止血した.十二指腸憩室出血1は部位診断が困難であり,治療の際に直視鏡ではその内腔の視野確保が困難なことが多いが,斜視鏡または側視鏡にて再観察すると十分な視野確保が可能となり,処置がスムーズに行えることがある.斜視鏡または側視鏡を用いた本邦での記載例は本2例を含めても4例と少ない.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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