日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
右胃大網動脈を使用した冠状動脈バイパス術後に胃潰瘍形成を認めた1例
鎌田 修吉川 正英城井 啓吉井 純一松本 昌美菊池 英亮栗山 茂樹植村 正人松村 雅彦福井 博
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 42 巻 5 号 p. 980-986

詳細
抄録
 症例は58歳の性.冠状動脈3枝狭窄に対し,右胃大網動脈を使川した冠状動脈バイパス術を受けたところ,術後20日目頃より心窩部痛,嘔気,食思不振が出現した上部消化管内視鏡検査にて胃体下部大彎に白苔を伴う直径約1cmの潰瘍形成を認め,著明に皺襞の集中が観察された.近年,冠状動脈バイパス術において動脈バイパスグラフトとして左右の内胸動脈に次いで右胃大網動脈が使用されてきているが,一般に上部消化管合併症の発生頻度は少ないとされている.本例のような胃潰瘍形成例はきわめて稀であるが,術後合併症の1つとして念頭に置く必要があると考える.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top