2002 年 44 巻 2 号 p. 135-145
孤立性胃静脈瘤10例に対して初回治療として胃腎シャント閉塞下硬化療法(shunt occlud-ed endoscopic injection sclero therapy;SO-EIS)を施行し,その臨床的有用性を検討した.本法は,B-RTO(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration)の.手技を応用してバルーンカテーテルで胃腎シャントを閉塞した上で,内視鏡下に胃静脈瘤を直接穿刺しEISを行うものである.1-2週後に静脈瘤内の血流が残存するものに対しては,原則として通常のEISを追加した.治療回数は平均2.5回で硬化剤の総注入量は平均33.9ml,SO-EIS時の注入量は平均18.4m1であった.治療により胃静脈瘤は10例中9例で消失し,残り1例も平低化した.重篤な合併症は認めなかった.血行動態の検討では,著効した9例全例で静脈瘤とその供血路の消失を認めた.排血路のシャント血管は9例中5例で温存された.以上より,本法は孤立性胃静脈瘤に対し極めて有用な治療法と考えられた.