「背景・目的」Helicobacfer pylori(Hp)感染の内視鏡診断を確立する目的で本学会に附置研究会として「Hp内視鏡研究会」が設置され,3年間活動した.本文はこの研究会事業の一つとしておこなった「Hemoglobin index(IHb)によるHpの感染診断―多施設によるprospective study―」の成績について報告する.「方法」8施設により,胃体上部後壁~大彎側の胃底腺粘膜を電子スコープで撮影し,IHbを測定した.Hp感染の診断は尿素呼気試験を含め通常の方法によった.「成績」145例の症例が集積されたが,IHb測定不適格の41例と他施設に比べてIHb値が全体に低い施設の例36例を除外し,68例が検討対象となった.IHbのカットオフ値を60にするとHp診断の感度86%,特異度81%であった.カットオフ値を58あるいはグレーゾーンを58~60に設定すると,それぞれ感度93%,92%,特異度69%,78%であった.「結論」IHbは適正条件のもとで測定すれば,Hp感染の臨床診断に応用できる.
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