2002 年 44 巻 2 号 p. 155-159
症例は68歳男性.1998年10月右下腹部痛を主訴に当科を受診し,白血球増多とCRP高値を認め,虫垂炎の疑いにて入院となった.腹部CT検査および腹部超青波検査にて,回盲部周辺に腫瘤像を認めた.また大腸内視鏡検査にて,発赤した虫垂開口部の近傍に粘膜下腫瘍様の隆起を認め,その頂点にびらんを伴ったが,吸引操作にて偶然排膿を促されるのが観察された.内視鏡下に排膿が観察された報告は本1/玉では11例に過ぎなかった.盲腸周囲膿瘍に対する大腸内視鏡検査は,診断のみならず治療面においても有用である可能性が示唆され,安全性の確立も含め症例を液ねる必要があると考えられた.