抄録
【背景・目的】消化管GVHD(Graft-versus-Host Disease)の的確な診断は臨床的に極めて重要であるが,内視鏡診断についての知見は,未だ不十分と言わざるをえない.GVHD腸炎の内視鏡像を詳細に解析し,共通所見及び特徴的所見の有無を検討して,GVHD腸炎の内視鏡.診断の有用性を明らかにすることを目的とした.【方法】同種骨髄移植後または末梢血幹細胞移植後に水様下痢や下血が出現し,内視鏡下生検にて組織学的にGVHD腸炎と確定診断された10症例の大腸内視鏡像をretrospectiveに検討した.【結果】多彩な内視鏡像(びらん,びまん性点状・斑状発赤,アフタ様潰瘍形成など)を呈する一方で,粘膜固有層の浮腫を反映した特徴的な亀甲状粘膜模様(tortoiseshell pattern)が全症例に認められた.【結論】特異的な亀甲状粘膜模様は極めて重要な内視鏡所見と考えられ,GVHD腸炎の診断における内視鏡観察の有用性が示唆された.