抄録
症例は52歳男性,マロリーワイス症候群に伴う吐血にて当院入院となった.内視鏡所見では門歯より35cmの中部食道に樹枝状不整型の黒色斑を認めた.生検では粘膜基底層に紡錘形,多角形で大きく空胞状の核を持つ異型メラノサイトの不整な密生を認めた.免疫染色では,HMB-45抗メラノーマ抗体,S-100白で陽性であった.切除標本での組織所見上は基底層に限局する異型大型のメラノサイトが密集し,メラノファージの出現も認めることからmelanoma in situとの診断であった.病変は一カ所に限局しskip lesionは認めなかった.粘膜内癌で発見された食道原発の早期悪性黒色腫はこれまで報告が無くきわめて稀である.