2004 年 46 巻 4 号 p. 949-954
症例は57歳,女性.腎不全にて血液透析を行っている患者で,2002年7月頃より貧血の進行が認められたため,精査目的にて紹介となった.入院後,下部消化管検査にて回盲弁より10cmほど口側の回腸に径7mm大の亜有茎性隆起性病変を認め,出血源と考えられた.可動性があり,内視鏡的切除可能と判断し,ポリペクトミーを施行した.病理組織学的には,1層の内皮細胞からなる毛細血管様の細血管がびまん性に増生しており,毛細血管腫と診断された.切除後出血はなく,7カ月後の内視鏡検査でも遺残再発は認めなかった.小腸毛細血管腫は極めて稀な良性腫瘍である.また,本邦では,小腸血管腫を開腹せずに内視鏡的に切除したという報告はない.