抄録
症例は20歳女性.約1カ月間持続する右上腹部痛と発熱を主訴として来院.血中Chlamydia trachomatis(以下クラミジア)抗体が陽性であったこと,腹部超音波検査(以下腹部エコー)で肝,胆,膵等に異常なく,肝と腹壁の間に層状の高エコー域が観察されたことより右上腹部痛の原因はFitz Hugh-Curtis症候群(以下FHCS)と考えた.抗生剤投与による保存的治療を開始し,発熱,炎症反応は軽快したが,右上腹部痛は軽快しなかった.右上腹部痛持続の原因検索,治療のため腹腔鏡検査を施行した.腹腔鏡検査で肝被膜の肥厚,肝右葉前面と腹膜の間に線維性癒着が観察された.腹腔鏡下に癒着を剥離し,術後腹痛は速やかに消失した.FHCSにおいて腹腔鏡検査は,その病態把握のみならず治療においても有用であった.